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研究トピック

No.1ローヤルゼリーおよびその成分による寿命延長作用

アピは、東京都健康長寿医療センター研究所などとの共同研究により、ローヤルゼリーおよびローヤルゼリーに含まれる脂肪酸の一種「10-hydroxy-2-decenoic acid (10HDAあるいはデセン酸とも呼ばれる)」が寿命を延ばす効果を持つことを、線虫を用いた実験で突き止めました。ローヤルゼリーには以前より滋養強壮をはじめ種々の効能が認められていましたが、寿命を延ばす効果がある物質が特定されたのは初めてのことです。この成果はアメリカのオンラインジャーナル「PLosONE」誌に掲載されました(2011年8月9日電子版公開)。

線虫(C. elegans)は、寿命が3〜4週間と短く、全ゲノムが解明されていることから、寿命に影響を与える物質の探索によく用いられます。この線虫にローヤルゼリーおよびタンパク質分解酵素で処理したローヤルゼリー(pRJ)を与えたところ、寿命をそれぞれ7〜9%および7〜18%延長しました(図1 、図2)。各種変異体を用いた実験および詳細な遺伝子発現解析から、寿命延長効果にはインスリン/IGF-1シグナル伝達の抑制が関与していると推測されました。

最も効果が高かった酵素処理物pRJ-Fr.5と名付けた画分は寿命を17〜19%延長し(図3)、ローヤルゼリーの特有成分である10HDAを多く含んでいました。一方、10HDAは単独でも線虫の寿命を延長しましたが(図4)、これにはインスリン/IGF-1シグナル伝達は関わっておらず、ローヤルゼリーによる寿命延長の背後には複数のメカニズムが関与していることが推察されました。

10HDAは自然界ではローヤルゼリー中以外には見出されておらず、その含有量はローヤルゼリーの品質規格のひとつとなっていますが、これまでその機能効能についてはよく分かっていませんでした。10HDAをはじめ、ローヤルゼリーに含まれる寿命を延長する成分についてさらに研究が進めば、機能性食品による老化抑制への応用が期待されます。

図

Lifespan-Extending Effects of Royal Jelly and Its Related Substances on the Nematode Caenorhabditis elegans

Yoko Honda1, Yasunori Fujita2, Hiroe Maruyama3, Yoko Araki3, Kenji Ichihara3, Akira Sato4, Toshio Kojima4,5, Masashi Tanaka1, Yoshinori Nozawa2,6, Masafumi Ito2, Shuji Honda1 1 Department of Genomics for Longevity and Health, Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 2 Department of Longevity and Aging Research, Gifu International Institute of Biotechnology, 3 API Company Limited, Nagaragawa Research Center, 4 Computational Systems Biology Research Group, Advanced Science Institute, RIKEN, 5 Hamamatsu University School of Medicine, 6 Department of Food and Health, Tokai Gakuin University

PLoS ONE | August 2011 | Volume 6 | Issue 8 | e23527
http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0023527