ミツバチ辞典

ミツバチの生態ミツバチの種類やその働きまで詳しくご紹介します。

ミツバチの社会

■ 女王バチ

何万といるミツバチの中でたった1匹だけ大きな体をしたハチがいます。これが女王バチです。女王バチは他のミツバチよりも約2倍もの大きさがあり、ミツバチの中で唯一、卵を産む能力の持ち主です。彼女は巣の中を歩きまわり卵を産みつける場所を探します。卵を産みつける場所を"巣房(すぼう)"といいますが、この巣房には「働きバチを育てる部屋」、「雄バチを育てる部屋」、そして「女王バチを育てる部屋」の3種類あり、正確に卵を産み分けることができます。

■ 働きバチ

働きバチはミツバチの社会の中で1番多く、最も多い時で約5〜6万匹にもなります。働きバチは全てメスですが、女王バチのように卵を産むことができません。産まれたばかりの働きバチは20日間くらいは巣の中で仕事をします。3日間は巣房の掃除、4日目あたりから15日くらいまでは幼虫にエサをやったり、子どもを育てる仕事をします。そのあと、15日目ごろからは巣づくりや飛行練習、巣門(巣箱の入り口)で門番をしたりします。20日以降になると、巣から外へ出て、花々から蜜や花粉を採ってきます。花のさかりにはほとんど休みなしで働き続けるので、寿命も短く平均1〜3ヶ月で死んでしまいます。

※繁殖期の寿命は約1ヶ月です。越冬期はあまり動かないので寿命は約半年あるといわれています。

■ 雄バチ

雄バチは働きバチより、少し大きめな体をして堂々としていますが、働きバチのように毒針を持たず花々から蜜や花粉を集める能力もありません。雄バチはミツバチの繁殖のためだけに生まれてくるのです。毎日、朝から夕方まで女王バチとの"結婚飛行"に出かけて行き、ここで結婚に成功した雄バチはすぐに死んでしまいます。しかし、結婚に失敗した雄バチは成功するまでずっと、巣の中で暮らします。いわゆる居候です。秋になり花々の蜜や花粉が集まらなくなると、何もしない雄バチは巣から追い出され飢え死にしてしまいます。

ミツバチの不思議

■ 巣づくり

働きバチは産まれてから15日くらいたつと巣をつくり始めます。ミツバチたちの巣は正確な六角形から成り立っていますが、よく見ると大小の部屋があります。小さい方が働きバチの部屋、大きい方が雄バチの部屋です。巣をつくるには、ハチミツをお腹いっぱい食べたたくさんのミツバチたちが天井からぶら下がり、24時間じっとしています。すると、働きバチのお腹から白いうろこ状の蜜ロウが出てきます。これを"ろう片"といいます。このろう片を働きバチは口で噛み砕き、唾液に混ぜて巣をつくっていきます。巣部屋は水平に重なり、部屋の入り口は上を向いているため(約3度)蜜を入れてもこぼれない仕組みになっています。女王バチの部屋は大きく巣から下へ垂れ下がっています。この女王バチの部屋のことを"王台"といいます。

■ 王台づくり

女王バチの部屋"王台"。この王台はいつもつくられるわけではありません。今の女王バチの寿命がなくなる時か、1つの巣箱の中のミツバチが増えおさまりきらなくなった時に限られます。ほとんどの場合が後者の方で、毎年5月ごろになると"分蜂(巣別れ)"がよく見られるのですが、その前には必ず新しい王台がつくられます。この新しくつくられた王台から、新しい女王バチが産まれてきますが、その2,3日前に古い女王バチは巣の中の約半分の働きバチをつれて外へ飛び出すのです。これを"分蜂(巣別れ)"といいます。

■ 新女王バチの誕生

新しい女王バチは、自分で王台を噛みやぶって産まれてきます。そして他の王台を見つけるとその王台を噛みやぶって、中にいる女王バチのサナギを殺してしまいます。また同じ巣の中に、同時に女王バチが産まれた時は、女王バチどうしが戦い始め、相手を殺そうとします。

■ 巣箱の中

ミツバチの巣の中は、外気と関係なくいつも30度〜35度とミツバチにとってちょうどいい温度になっています。夏の暑いとき、気温が上がるとミツバチは巣の中に水を運びこんだり、羽を震わせて外の涼しい空気を入れたりします。逆に冬の寒いときには、ミツバチたちはボール状に体をよせてひとかたまり(これを"蜂球"という)になり、熱が外に逃げないようにします。また、ハチミツをお腹いっぱい食べて体を揺らし、自ら熱を出します。ですから、どんなに寒くてもミツバチはめったに凍え死ぬことはないのです。

ハチミツの種類