ゼロからのスタート
会社初の化粧品分野へ進出
協力会社に委託している歯磨き粉製造を、自社製造へシフトできないか?――当時、そうした話が社内で持ち上がった。しかし、健康食品製造のノウハウや経験が豊富なアピでも、歯磨き粉などの化粧品製造の実績はない。そこで、まず自社ブランドの歯磨き粉の開発・製造に着手することになった。
Profile
アピ株式会社
技術開発部 本巣技術開発課
※プロフィール情報は取材時
(2021年2月現在)のものです。
何もかも手探りの状態からスタート
その当時担当していたのは、健康食品に使用される原料の製造工程。そんな中で、会社でも初の試みとなる化粧品分野での商品化の話がやってきて、とにかくすべてがゼロからのスタートでしたね。
自社ブランドの歯磨き粉と言っても、内容は未定。そこで、アピが得意としているプロポリスを配合した歯磨き粉を目標としました。社内・商社・メーカーの方などあらゆる人から「化粧品とは?」という基本を学び、ドラッグストアに行っては歯磨き粉のパッケージに書いてある成分を調査。家族にも試作を使ってもらい意見をもらうなど、試行錯誤の連続でした。
多くの人の協力を得て、商品化が実現
いろいろと試しながらも、どうにも上手くいかず行き詰まっていたところ、化粧品メーカー出身の社員が入社。それまで1人で検討を繰り返していたのですが、2人であれこれ話しながら進めるようになりました。チューブから出した時の硬さや泡立ちなど、少しずつ配合を変えたりして調整を繰り返しました。
試作段階ではうまくいっても、大量製造に向けスケールアップをすると増粘剤がうまく溶けない。そんな課題も1つずつ乗り越えることで、無事商品化までこぎつけました。最終的には、品質管理や戦略室、技術開発など総勢10名ほどのプロジェクトになっていました。
自社製品の開発成功から次のステップへ
この時に得られた知識や経験は大きかったですね。この歯磨き粉をベースにお客様の製品開発を行えているだけでなく、増粘剤の知識をペースト状の健康食品に応用もできています。化粧品という新しい分野を知ることで視野が広がったと思いますし、商品化という最終形の製造に関われたことも良かったです。
今後、化粧品としての歯磨き粉の他に、医薬部外品としての歯磨き粉の開発にも挑戦するため、法律を1から調べているところ。その後、クリーム・乳液といった新たな製品の展開も視野に入れており、まだまだやってみたいことが山積みです。