池田医薬品工場において私が従事しているのは、粉末の医薬品を製造するラインでの製造作業です。具体的には、製造時の原料受入・秤量、機器オペレーションおよび工程管理作業、関連書類の作成、そして機器設備の管理や定期校正といった業務が主なところ。つくっているのは粉末の抗生剤(セフェム系やカルバペネム系)。医薬品を扱うため、その環境は非常にシビアです。作業を行う無菌室に入るには毎回身体チェックが必要ですし、充填作業では0.001グラムの誤差も許されません。また、工程ごとに必要になる書類の作成も大量にあります。
製品を確実に製造するのはもちろん、加えて私たちに求められているのは、さまざまな制約のある中、より良い製造環境を整備すること。どうすれば現状以上に効率的かつ安定的な製造が行えるかを考え、改善点があれば上司に報告・相談します。問題の内容によっては、設備の導入や書類の変更まで自ら動いて行い、すぐさま製造現場に反映させることができます。自分の判断によって新たな機器やルールを導入したことで、環境良化に結びついたときは大きなやりがいを感じますね。
医薬品の製造は、GMP(Good Manufacturing Practice)に基づき行う必要があります。書類作成に使用するペンの指定から室内の温度・湿度まで、こと細かく規定されており、それらを理解し慣れるまでは非常に気を遣います。凍結乾燥製造ラインから粉末製造ラインへと担当がシフトしたときには、新たな設備の勉強に苦労しました。その反面、理解が深まるにつれて「こういったやり方もあるのか!」と考えながら仕事に取り組むことができ、面白みもありました。同様に、各製剤で異なるそれぞれの製造方法を知るほどに、自分の成長を実感することができます。
今後、私たちの業界にはGMPよりもさらに厳しい規定が設けられる予定です。ますますクリアするべき課題が増えていく中、それに適応していくため自ら学習し、製造環境とバリデーションの実施など、きっちりと現場作業に盛り込んでいきたいと思います。他のメンバーとも新たな規定への認識を共有し、安定した製造を行うための環境づくりに取り組んでいきます。また、粉末製造では、粉末状態によって充填結果が大きく左右されるため、今後は粉末の特性や各現象への理解を深め、さらなる製造方法を考案していくことも私の目標です。
入社後、凍結乾燥製造ラインにて経験を積む。現在、粉末製造ラインを担当。医薬品特有のシビアな環境の中、より良い製造方法を模索する。
人の役に立てる医薬品関連の仕事に就きたくて私はアピに入りました。入社後、研修期間を経て配属されたのが池田医薬品工場の品質管理課。こちらの部署では主に、当社製品に有効成分がきちんと含まれているか理化学的に分析したり、微生物が存在していないかを調べるなど、出荷前の製品の様々なチェックを行っています。また、製造所の衛生管理に関することも私たちの業務の一環。ルーチンワークの多い地味な仕事ではありますが、私たちがアピの品質を守ることで、世の中の多くの方々の毎日に貢献しているという自覚と誇りを持ち、一つひとつの作業を着実に積み重ねています。
現在、私は水質管理試験および清浄度管理試験の責任者の役割も任されています。製造用水の分析をしたり、製造エリアの環境測定を行ったり。責任者という立場になったことで、試験の指示出しや試験記録の確認など業務内容の幅は広がり、それに伴い責任感も強くなりました。自分の担当する業務とだけ向き合っていたオペレーター時代でも、各種試験で異常値が生じたらそれを解明するために要因となり得る点を洗いざらい調べ直し、解明しなければなりませんでしたから。チーム全体のそれを見るのは大変ですが、その分やりがいも感じている毎日です。
無菌試験や清浄度モニタリング、微生物関連の試験や定期レビュー、スケジュールの作成・指示出しなど、私の日常はあらゆる業務で過ぎていきます。もちろん、仕事ですから苦労は多々あります。つい最近では、とある製品が出荷当初と比べて微粒子に異常が起きていて、それは経年による現象だとわかったのですが、お客様に納得していただけるよう多大なデータを収集し提出しました。私たちの部署はアピの品質を裏付けするために欠かせない存在である、ということを改めて実感しました。また、他部署と連携して製品が完成するまでの手順を見直し、改訂していくことも私たちの仕事で、その結果、コスト削減や効率化につなげることができたときは裏方としての醍醐味を感じます。
昨今、医薬品のGMPは国際調和を重んじる傾向にあり、日本らしい性善説ではなく性悪説に基づき、ネットにおけるシステム管理の強化などを求められるようになってきています。私たちはその流れに沿って、製品の特性や製造方法、リスク管理について考え、より良い品質管理の手法を目指さなければなりません。そのために必要なのは更なる知識と経験。そのためにも今ある仕事をコツコツと行い、アピの製品・設備に対する知識も蓄え、社内外の誰からも信頼される人材になれるよう、日々を大切に積み重ねていくことが私の使命。近々の目標は自動溶解システムの導入です。これが実現できたら、かなりの省力化になるはずですからね。
世の中に貢献できる仕事を志しアピに入社。品質管理課に所属。水質管理試験および清浄度管理試験の責任者を担当。
Copyright(C) API Co.,Ltd. All rights reserved.